日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年4月7日上手な話し方のコツは具体的に話すこと

 

★端的に話すトレーニングをしています


日本話し方センターのベーシックコース2日間集中コースには、「あがり症を治したい」「人と緊張せずに話したい」「わかりやすい話ができるようになりたい」といった動機で受講されている人がほとんどです。しかし、そうした人でもコース修了時には当初のご自身の課題を克服するだけでなく、他の様々な気付きや学びを得ていただいています。これらのコースでは、話す態度、声の出し方、話の組み立て方、抑揚のつけ方、話に表れる心の持ち方など、話し方全般について講義を行い、それを実習で実践して身につけてもらっているからです。

話し方の上達は自転車に乗れるようになったり、泳げるようになったりするのと同じで身体に覚えさせるトレーニングが必要です。このため、実習では2分間のスピーチを行います。このスピーチ実習はあがり症克服に効果がありますが、端的に要領よく話す練習にもとても有効です。2分間というのは話をするにはとても短い時間ですので余計なことは一切言えません。その代わり言いたいことに関することは漏らさず具体的に話す必要があるのです。しかし、大抵の受講生は初めの頃は2分を30秒ほど超える話をします。また今一つ何が言いたいのか分からない話も少なくありません。この原因は、話す必要のないことを話したり、逆に話した方がよりわかりやすくなることを話していないことなどにあります。
今回はそうしたスピーチに対して講師がどういうアドバイスを行っているのか、その一部をご紹介します。


★アドバイスの例


最初の頃の受講生のスピーチは、表面的な事実だけを話しています。例えば、あらすじだけを示せばこのような感じです。

「お酒を飲み過ぎて記憶を失い、カバンをなくしてしまった。駅に問い合わせたところ、誰かが拾って駅に届けてくれていた。ホッとした。」

この例では、出来事の経緯だけを話しています。しかし、話には必ず言いたいことがあるはずです。この例だと「お酒の飲み過ぎには注意しよう」などが言いたいことになるでしょう。その言いたいことを理解してもらえるように、ある出来事を引き合いに出して聞き手に共感してもらおうとしているのです。しかし、共感してもらうには上の話では物足りません。例えば、ホッとしたという気持ちは述べられていますが、もう少しどんな気持ちだったのか知りたいところです。それ以外にも必要な5W1Hを入れた方が聞き手は話しに入っていきやすいでしょう。なので、講師はこのスピーチを聞いて、このような質問をします。
「お酒をどれくらい飲みましたか?」
「何時頃まで飲んでいたのですか?」
「カバンには何が入っていたのですか?」
「カバンがないと気がついたとき、どう思いましたか?」
「駅に問い合わせる時、どんな気持ちでしたか?」
「見つかった時、心の中でどう思いましたか?」
「これからどうしようと思っていますか?」
そして、受講生が答えたことを短い言葉にして話に盛り込んでくださいとアドバイスします。

 

★具体的に話すことはとても大切


話で大切なことは聞き手の頭の中にイメージが浮かぶように話すということです。人は頭の中でイメージを作ることで初めて話を理解できるのです。では、イメージを持ってもらうために必要なことは何でしょうか。それは、具体的に話すということです。先に紹介した講師の質問はこの具体性を掘り起こすために行ったものです。お酒を飲み過ぎたと聞いてもイメージは湧きにくいですが、ウィスキーをボトル半分くらい飲んだと聞けば「ああ、それは結構飲んだんだなぁ」とイメージが湧きます。また、カバンをなくした事に気づいた場面を「うわぁ、どうしよう!財布もスマホも会社の大切な書類も入っていたのに!ああ、どうしよう!どうしよう!」とその時の感情をありのままに話せば、聞き手も「ああ、すごくあわてたんだなぁ、そりゃそうだよなぁ」と共感しやすくなります。さらに言えば、ホッとしたとき、きっともう二度とこんな思いはしたくないと考えたに違いありません。そのために、これからどうするのかということを具体的に話せば引き締まった話にすることができます。

聞き手が頭の中でイメージできるように話すことは、スピーチに限らずビジネストークでもとても重要です。上司への報告、お客様への説明でも「何を言っているのかよくわからない」と言われてしまう大きな原因の一つが、話が抽象的だということです。できるだけ具体的に話をすれば、納得感はグッと高まります。

 

★具体的に話すトレーニングをしましょう!


日本話し方タンターでは、集合形式の講座で受講生同士がお互いに切磋琢磨し合いながら、より良い話し方やコミュニケーションスキルを身につけるためのトレーニングを行っています。その効果は多くの受講生が実感されています。ぜひ受講者の声をご覧いただいた上で受講をご検討ください!
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